仕事人にドラマあり。キャリアスクーププロジェクト

大学生自ら地域の中小企業・ベンチャー企業の仕事現場に出向き、経営層や現場第一線の若手社員に直接取材。一般的なリクルーティングサイトでは見えにくい創業時の思いや仕事上の様々な喜怒哀楽などの「リアル」を学生目線の記事で発信する実践型プログラム、それが「キャリアスクーププロジェクト」です。

学生たちは、学校・学年の異なる初対面同士の5~6名で構成されたグループを活動の基本単位とし、取材先へのアポイント取得から始まる3ヶ月のプロジェクトを協力しながら遂行します。

1.「キャリアスクーププロジェクト」が生まれた背景

 

例えば恋愛がそうであるように、人生における大きな選択では、想いに心を動かされこの人となら未来を共有したいと強く決心し前に進むものではないでしょうか。就職活動においても同じです。

ところがWEBリクルーティングが常態化した現在、就職活動中の学生はパソコンやスマートフォンの条件検索を駆使し、自らの人生の選択を行っています。大学受験の偏差値表のように並べられた人気企業ランキングを上からなぞる様に受験し、面接では就活マニュアルを参考に、本来の姿とは程遠い「完璧な」自分を表現することに精を出し、不採用の通知を受け取るたびにまるで人格を否定されたかのように自信を失っていく・・・

インターネットの普及に伴い就職活動は便利かつ効率的に行われるようになった一方、その副作用への課題感は年を追うごとに強まってきました。

 

このような背景の中で生まれたキャリアスクーププロジェクトは、大学生が直接仕事の現場に行き、取材活動を通して「仕事」を感じてもらうことで、様々な価値観に出逢い、結果として自分の志向性にも気づくことに重きを置いたプロジェクトです。

経営者本人から語られる創業ストーリーにはにじみ出る当時の想いがあるでしょう。工場独特の匂いも、誰かが叱られている声も、現場に行かなければ分かりません。

厳しい経営環境下で、中小企業の経営者は自らの人生哲学そして会社としての理念を形成しています。そうした「真剣勝負」に触れ、若い人材にとって「生きる姿勢」について考えるきっかけを得ること、また自分の見聞きしたことを自分なりの言葉に変換して発信することで学生自身が自分の価値観を再確認することを狙っています。さらに学生目線で書かれた記事は、企業概要を読むだけでは伝わりにくい仕事の魅力を世の中に伝えるという役目も担っています。

 

 

 

2.キャリアスクーププロジェクトの取り組み(特徴)

 

キャリアスクーププロジェクトでは必ず1人1社ずつ責任を持って記事を書き上げます。プロジェクト最初の研修(キックオフミーティング)でそれぞれ担当する企業を決めた後は、企業側の担当者へのアポイント調整に始まり、企画説明や取材シチュエーションの交渉、取材活動、原稿作成、そして校了までという一つの仕事をやり遂げます。

また、その過程では、取材活動前に取材コンセプト設計や基本的なビジネスマナー習得を行う事前研修が2回、取材活動後に記事のブラッシュアップと取材活動の振り返りを行う研修を2回実施します。

 

さらに活動の集大成となる「キャリスクアワード」ではチーム部門と個人部門に分けてプレゼンテーションを行い、当プロジェクトの成果報告とすると同時に取材受け入れ企業をはじめ関係各所へ謝意を伝えます。

 

また、3ヶ月間のプログラムは大学・学年の異なる5~6名で構成されたチームを基本とした活動になります(メンバー構成は事前に事務局が編成)。日頃気の合う仲間とだけ交流しいつの間にかストレスの少ない人間関係を構築してしまっている大学生にとって、初対面かつ価値観・年齢の異なる人との協働作業は大きなチャレンジ。激しく意見を衝突させたり、チームメンバー間で不和が発生したりすることも珍しくありません。経験の無いような厳しいコミュニケーションの中で、学生たちは互いに協力しながら課題を乗り越え、徐々に自分の役割を見出していきます。

そうした学生の活動を見守っているのが、「社会人メンター」です。

20代後半から30代前半の若手社会人を中心とした社会人メンターは、各々学生チーム1つを担当し、緊張の中で様々なチャレンジを経験する大学生を支援します。

かつてどの地域にもいたような、「勉強熱心で仕事もプライベートもいきいきしている憧れの近所の先輩」がキャリアスクーププロジェクトのメンター像。

 自分たちが学生の見本となるような行動をとること
 学生の可能性を信頼すること
 学生の置かれた状況に配慮し共感の姿勢を示すこと

上記3項目を心掛けたコミュニケーションを行い、学生が自ら学びに気づくための動機付けを行います。

各々の職場で徐々に大きな役割を任されるようになってきた若手ホープの社会人メンターたちも、数年前は今の大学生のように何とか前向きな決断をしようと思い悩んだ経験のある人ばかり。社会人メンターの多くはそうした経験を学生のために生かし、また学生との対話によって自分も成長したいとボランティアで参加してくれています。
とはいえ社会人メンターは先生ではありません。社会人メンター自身の社会人経験をもとにした自分なりの答えを持っていることもあるのですが、それが学生にとって「正解」とは限りません。それゆえ社会人メンターは答えを示すのではなく、問い立てをしたり励ましたりしながら学生自身が課題を発見し乗り越えていけるように促します。

また学生からの率直な問いや社会人メンター同士の対話により社会人メンターが自分自身の仕事観について再構築する機会にもなっています。

 

 

3.地域の人材育成循環

 

記事校正のフェーズやプロジェクト中の様々な期限について厳しく指導する事務局スタッフを「縦」、学校・学年を越えた学生間の繋がりを「横」とするならば、キャリアスクーププロジェクトのお客様である取材先企業や社会人メンターは「ななめ」の存在。このプロジェクトが様々な立場の方が立体的に関わって下さることで成立していることを表しています。

また、過去キャリアスクーププロジェクト参加者が学生スタッフとして後輩をサポートしたり取材先企業の担当者が社会人メンターとして参加をしてくれたりと期を経るごとに地域の人材育成循環が生まれてきています。

事務局スタッフ、他大学他学年のチームメンバー、社会人メンター、地場企業経営者など、様々な関係者と連携しながら仕事を進めることで、参加学生の社会人基礎力は自ずと高まってきます。更にアンケートでは90%以上の参加者が「中小企業への関心度が高まった」と回答。規模や知名度に左右されやすい昨今の就職活動において、これまで気づかなかった中小企業の魅力に触れる機会になっています。

キャリアスクーププロジェクトは、学生の企業取材活動を通して、若手人材の育成に対して様々な地域のステークホルダーが前のめりになって関わり合う仕組みです。

 

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

知識をシェアしよう!